YABESOYの生活エッセイ  


住んでいる逗子のことやアートやデザインのこと、読んだ本など日記含め、いろいろ。


 


インテリアだのというと「あらまあ、おしゃれ」な印象があるが、決してそんなでもないと思う。
空間を構成するものに対しての配慮というのもインテリアの愉しみ方のひとつだと私は思う。たとえば、最も身近なインテリアはテーブルウェア、食器あたりであり、そうなるとなんだかすごく身近に感じないだろうか。

みなさんにとっての最も身近なテーブルウェアはなんであろうか。
私は即答できるが、間違いなく急須とマグである。私は小さいころからものすごく日本茶が好きで、マグカップで毎日ガブガブ飲む。

それなのに、そんなに大事なのに、急須を割ってしまった。
米は3日くらいなくても平気だが、お茶がないのは半日も耐えられない。
すぐに逗子のお隣・鎌倉へいった。
この町には、瀬戸物やらガラスやら、「和のテーブルウェア」を売っているお店さんがたくさんある。

今回購入したものは磁器製、いたって普通の形なのだが、表面は見たことのない風合いだった。
深い灰色で、ところどころテンテンとした模様がありつつもあり、なんだか金属的な光沢がありながらも、いたってマットで落ち着いている。

どんな釉薬を使っているのか、何焼きなのか、知りたい。でも、常連らしき女性とたのしく話すお店の方に声をかけることなどできず、てばやく購入し、そそくさと退散した。

この急須、使い勝手が非常によく、手になじんでいる。それでいて、使わないときに置いてあっても、空間に生活感をださない。
ものすごいこだわりがあるわけではないが、自称「デザイン的にも機能的にも、嫌なものは使いたくない。」派の私の、許容レベルを楽々飛び越える優秀さだ。よい買い物であった。

購入から3か月の今週、ふとした時に、急須の秘密に近づいた。

9月上旬にインテリア、ファッション、雑貨などの業者向けの展示会stockistsが池袋の自由学園明日館で行われており、仕事の都合でいったのだが、私の急須と同じような風合いの磁器を見つけたのだ。

ONE KILNさんというブースに置いてあった「ASH」シリーズである。
形も塗り方も全然、違うので私の急須はONE KILNさんのものではない、でもあの色と光は絶対なにか関係ある。

バイヤーでもない私に対して、とても親切に「桜島の灰なんですよ。だからASH(=灰)という名前なんです」と教えてくださった。

まだネット程度でしか調べられていないが、私が持っている急須は桜島のものではないかもしれないがどうやら火山灰のようだ。火山灰は様々な種類の鉱物が混ざり合っているできている、だからこそ再び熱を与えると、溶けて複雑な色味が出るのだ。液状化や大気汚染の原因ということで、なにかとネガティブなイメージの火山灰だが、世の中わからないなあと思った。

昔から確立されてきたの安定性のある釉薬ではないから、経年で変化が出るかもしれない。でも、経年劣化だなんだ言わずに使える限りは大切に使うつもりだ。

空間を構成するものに対しての配慮や思いやり、それがインテリアなのだから。




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